内的証拠のテスト
優秀な探偵と同様、歴史家たちは文献の信憑性を確かめるにあたり、内的手がかりにも注目します。内的手がかりとは著者の動機や詳細を公表する際の意欲、その他の特徴を明らかにするものをいいます。文献の信憑性を確かめるために学者たちが用いる内的手がかりには次のようなものがあります:
- 目撃者による記録の一貫性
- 名前、場所、出来事についての詳細
- 個人や小グループの人たちに宛てられた手紙
- 著者の恥となるような特徴
- 関連のない、または反対の内容の存在
- 関連のある文書の不足 [14]
映画「プライド栄光への絆」を例に考えてみましょう。実際に起こった出来事を元に作られてはいますが、このように実話を参考にして作られている他のたくさんの作品と同じく、観ている者に常に「本当にこのように起こったのか?」と疑問を持たせるところがあります。この場合、どのように歴史的信頼性を決定するのでしょうか?
一つの手がかりは、関連のない内容の存在です。映画の途中でコーチが何の理由もなく母親が脳腫瘍を煩っていることを知らせる電話を受けとったとします。作品の話とは関係なく、それ以上触れられません。とすると、この関連のない内容が含まれていることの説明は、このことが実際に起こったことで、監督が事実を正確に描写しようとしているだけだということになります。
同じ作品を使ってもう一つの例を考えてみましょう。ドラマの流れに沿うなら、マーミアン・パンターズに州大会で勝利してほしいと考えます。しかし映画の中でチームは勝利しません。ドラマの内容と反するようですが、これは実話でも実際にパーミアンが試合に負けたからなのだということがすぐにわかります。反対する内容の存在も信憑性を判定する手がかりとなるのです。
最後に、ヒューストン、アストロドームのような実在する地名や場所も話の内容が事実であることを確認する材料になります。これらのものは裏付けするにも偽るにも簡単すぎるからです。
以上のことは、文献が歴史的に信頼できるかできないのかという結論を導くにあたり内的証拠が用いられる例のいくつかです。新約聖書の歴史的真実性を確かめるための内的証拠を見てみましょう。