弟子達は幻覚を起こしていたのか?
今でもなお、太って白髪のエルビス・プレスリーがドーナッツ屋に駆け込むのを見たと思っている人がいます。それに、言い表せない検査に従い、宇宙船の中で宇宙人と最後の晩を過ごしたと信じている人もいます。
時々、自分が見たいと望んでいるものが、本当はそれは存在しないのに、見える人がいるようです。そのため、イエスの弟子たちが十字架の死であまりに取り乱し、生きているイエスに会いたいという願望が大きな幻覚を引き起こしたと主張する人がいるのです。もっともらしく思われますか?
アメリカ・キリスト教カウンセラー協会の元会長である心理学者ゲイリー・コリンズ氏は、急速に変化した弟子たちの行動の裏には幻覚があったという可能性について聞かれました。コリンズ氏はこう述べています。「幻覚は、個々に発生するものだ。その本質上、1回につき、あたえられた一つの幻覚を、一人の人しか見ることができない。絶対に、集団で見れるものではない。[30]
心理学者トーマス・J・ソアバーン氏によれば、幻覚はわずかの可能性すらありえないそうです。普通の健全な心を持つ500人の個人がありとあらゆる感覚的(視覚、聴覚、触覚など)な印象を体験するということや、これら全ての体験が完全に幻覚によるものでなければならないということは絶対にありえない。[31]
その上、幻覚の心理学では、幻覚を見る人はあまりにその人に会いたいがために、心がそれを作りだすといった心の状態になければいけません。
初期の教会で重要な指導者だった2人ヤコブとパウロはどちらも、生き返ったイエスに遭遇しましたが、予期してたわけでも、喜びを期待してたわけでもありませんでした。使徒パウロは、実際最初の頃はイエスの信者を迫害した指導者でしたが、イエスが生き返って彼の前に現れたという彼自身の証言を除いて、彼の改宗は不可解なままです。
幻覚の理論も行き止まりのようです。復活以外にどう説明できますか?
嘘から伝説へ
一部の納得できない懐疑派は、復活話の原因を、生き返ったイエスを見たと嘘をついたもしくは考えた人(一個人か複数)によって始められた伝説のせいにしました。時間が経つにつれ、伝説が語り継がれるごとに尾ひれがついて大きくなったのだと。
表面的には、もっともらしいシナリオのようでした。しかし、その理論には大きな3つ問題があるのです。
まず、複数の目撃者が反論活動してる間は、伝説が単に作られることはありません。古代ローマ、ギリシャの歴史家A.N.シャーウィン-ホワイトは、復活のニュースは伝説にしてはあまりにも早く、急速に広がったと主張しました。[32]
次に、伝説は昔からの言い伝えによって作られるのであって、実証できる現代史文書とはセットになっていません。しかし、福音書は復活から30年以内に書かれています。[33]
第三に、伝説の理論は、空っぽの墓の真相も、イエスが生きていたという歴史的に実証された使徒たちの信念についても、十分に説明なされていません。[34]
それゆえに、伝説の理論はこの驚くべき主張を言い逃れるための試みと比べて説得力はたいして変わらないようです。さらに、イエスキリストの復活の話は、イエスを信仰する12人を始めとし、歴史を変えました。彼らはローマ帝国全体とそれ以上の範囲に及んで変化をもたらし続けました。たった一つの伝説が、そんな短期間の間にどうやって歴史に巨大な影響を与えることができようか?